hogehoge, world.

米国カリフォルニアのソフトウェアエンジニアがIT・自転車・音楽・天体写真・語学などについて書く予定。

Airpods ProはAirpodsの進化形ではなく別ものだった

今まで完全ワイヤレスイヤホンとして旧世代のApple AirPodsを使っていたのだが、このたびApple AirPods Proを入手した。1~2ヶ月待つのを覚悟していたが10日で届き、Amazonグッジョブである。

それなりに値も張るし、聞こえてくる評判もよいし、旧AirPodsに比べてどれだけ進化してるんだろう?とワクテカして待っていたのだが、「届いてみたら良くも悪くも別ものだった」「旧AirPodsAirPods Proは重視するユースケースや好みに応じて買い分ける/使い分けるのがよろしい」というのが今回のお話。

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なお私は基本的にAppleユーザではなく、MaciPhoneではなくWindows PCやAndroidスマフォとペアリングして使っていることをお断りしておく。本来はソフトウェア的にもっと能力を引き出せるのかもしれないが、それは関知していない。

AirPodsの私的評価

私が旧AirPodsを買ったのは約1年前であり、非Apple信者の私でさえ衝撃を受けたのがその「異物感のなさ」である。装着感はめっちゃ軽く、物理的に耳を塞がれている感じがほとんどない。音の聴こえ方は、まず外界の音あるいは空気感があり、それにイヤホンからの音がアドオンされる感じである。音質・解像度も非常によろしく、なにより自然である。これぞ究極の開放型イヤホン、ARグラスも早くこのくらいまで進化して欲しい、と思ったものである。騒音の中で使うにはいまひとつかもしれないが、部屋で着けっぱにするようなユースケースでは理想的だ。

こういった人間との一体感も含めて機能性の高い製品を作るには、人間工学的にもかなりの労力が費やされているはず。歴史的にAppleMicrosoftが本気を出すとそんじょそこらのメーカーには真似のできないいい仕事をする分野である。

AirPods Proの私的評価

次にAirPods Proであるが、ぶっちゃけ旧AirPodsのときのような衝撃はまったくなかった。 装着感は普通にカナル型で、耳に物を入れている異物感は当然ある。外界の音を通す透過モードも、旧AirPodsに比べたらマイクで拾っている感は隠せず不自然さが残る。音質はよくなったと言われているが私は全然そうは思わない。ここは主観的なところだが、旧AirPodsでは気持ちよく聞こえていたライドシンバルの音がAirPods Proだとくぐもっているし、低域~高域のバランスも旧AirPodsの方がよいと思う。

ただし、AirPods Proが特にしょぼいと言いたいわけでもない。カナル型イヤホンとしては装着感は軽くていい方だと思うし、アクティブノイズキャンセリングはよく機能する。例えばエアコン等のノイズのある部屋や、ものを食べながらの電話会議で、外界のノイズ・自分の体から出るノイズ・耳の不快感等に気が散ることなく会話に集中できるのはやはり大したものだと思う。また透過モードが不自然と言ったが、あくまで旧AirPodsに対する比較であり、ノイズキャンセリングモードと透過モードが簡単に切り替えられるのは間違いなく便利である。旧AirPodsが「究極の開放型イヤホン」だったのに対し、さらなる進化を期待して大枚叩いたらそれほどの衝撃はなく、そもそも方向性が違う「それなりにいい(しかし値段の高い)カナル型イヤホン」だった、という話である。

あなたは開放型派?それとも密閉型/カナル型派?

外界の音を遮断したくない/しなくてもよい、圧迫感が嫌い、という開放型イヤホン派の人には旧AirPodsは間違いなくお勧めできる。Apple推しでない人でも買ってよし!

逆に外界の音の遮断が必要な人はAirPods Proをお勧め…というのは間違いではないのだが、ちょっと値段が高いと思う。現時点で旧AirPodsが$139に対し、AirPods Proは$235もする(日本だと3万円クラス?)。積極的にAppleにお布施をしたいのでなければ、別のオプションを探るのもいいんじゃないかと思う。(私はこれ以上投資する気はないので、より安くてgood enoughなオプションが本当にあるかはわからない。悪しからず。)

ちなみに、私は以前は没入感や解像度を重視するコテコテの密閉型ヘッドホン・カナル型イヤホン派で、部屋ではモニタリングヘッドホンShure SRH840を、外ではShure SE215を使っていた。しかし今は自然な視聴体験の方がよいと感じるようになり、またうるさい電車内で音楽を聴くようなシーンもほとんどないので、すっかり開放型派になってしまった。部屋で使うヘッドホンもSennheiser HD 558(+耳パッドアップグレード)に変えた。旧AirPodsのポイントが高い私のインプレはこういった指向やユースケースによるものなので、以前の私のように密閉型が好みだったり、毎日電車通勤したりよく外で電話するような生活の人には、少なくともハズレではないAirPods Proに3万円投入する判断もリーズナブルかもしれない。

おまけ1: Anker SoundCore Liberty Air

AirPods Proが届くまでのつなぎとして、レビュー記事での評判もよく "AirPods destroyer" との声もあるAnker SoundCore Liberty Airも試してみたのだが、これは大ハズレ。まず装着感が悪い(AppleMicrosoftの仕事は一味違うという私の見解がまた強化された)。そしてマイクが最悪。しゃべるとひどいヒスノイズが乗り(ノイズキャンセリング機能がしょぼくて逆にノイズを生んでいる感じ)、とても仕事の電話会議で使えるクオリティではない。サポートに連絡したら交換してくれたが改善せず、これ以上の追求は時間の無駄なので返品した。*1

おまけ2: GUSGU-01

商品説明からは型番さえ不明なこのGUSGUのワイヤレスイヤホン、完全ワイヤレスではない(左右が分離されていない)ものの開放型でたったの$20、レビューもよい(星5~4が80%越え)、というわけで怪しいもの見たさにポチっと。結果的には軽い、音よし、マイク普通によし、とアタリであった。もちろんAirPodsのクオリティにはあらゆる面で劣るのだが、突出した欠点もなく、バックアップ用として十分使える。

*1:なお最初に届いたのは初期不良で動作しなかったので2回返品処理をしたことになる。Ankerのサポートは悪くないのだがさすがにうんざりである。