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米国カリフォルニアのソフトウェアエンジニアがIT・自転車・音楽・天体写真・語学などについて書く予定。

日本語教育能力検定試験(2019年)を受けた ~ 素人的解説速報 試験III 後半

前回に続いて試験IIIの後半。これで最後です。

問題9

問1 2: メンタルヘルスの問題が起こりやすい時期を覚えていなかったとしても、これ以外の選択肢は逆のことを言っているので絞り込みは簡単。

問2 4: マズローの欲求階層といえば、生理的欲求に始まり、承認欲求⇒自己実現欲求が一番上。

問3 1: 防衛機制云々を知らなくても「合理化(説明により自分を納得させる)」してるのは1だとわかる。2は文字通り逃避、3や4は転嫁や代替の類であり合理化とは言わない。

問4 3: 1や2のような決めつけダメ絶対。4も極端。3が兆候を捉えてアテンションを向けるという意味で最も妥当。

問5 4: 2と3はカウンセリングに関する記述として明らかに脱落。1と4の2択だが、1は「特別視しない」は妥当な気がするものの、全体として日本語が意味不明なので消去法で4を選択。

問題10

問1 4: 1と2は先生に対する言葉遣いが不適切なだけで談話の流れはおかしくない。3は単純に文法エラー。4は2つの文章の間に脈絡がなく談話として壊れている。2つの文を「ところで」などでつなげばよかったのだが。

問2 2: 談話標識は会話をスムーズにするためだけのお決まりフレーズ、ということで2。

問3 4: 「日常場面において起こる出来事の典型的な順序や流れ」がスキーマ理論におけるスクリプトの定義そのもの。この定義を知らなくても、スクリプトは筋書きの意味だと知っていれば答えられる。

問4 3: トップダウンなので、全体的な大意や状況の把握に言及している3を選択。他は詳細にフォーカスしているので違う。

問5 3: 語用論的転移=母語の特徴が表れてしまい生じる語用論的な(文法的には正しいが用い方が適切ではない)問題のこと。3以外の選択肢は転移と関係ない。

問題11

問1 2: 3と4は言ってることが逆、1は意味不明。

問2 4: リキャストとは相手の誤りを正しい言い方で繰り返す(明示的に指摘はしない)こと。

問3 1: 不安軽減という主旨からストレートに1。

問4 4: 音声のように体に覚え込ませるものは知識より失われにくい、また知識の中でも文法のように普遍的な規則は語彙のような物量が膨大な個別知識よりも失われにくい、と考えて4を選択。

問5 3: 1と2は「イマージョン教育」「取り出し授業」という手段が目的と合ってない。4は問4と同じ考えを適用すれば逆。ということで無難なのは3。

問題12

問1 4: 質問に対して関係のないことを答えている。

問2 2: 「時計を持っているか」 と言いつつ実は間接的に時刻を尋ねている。他の選択肢は質問と回答が直接対応している。

問3 3: 1と4は脱落(FTAの度合いは3つの要素が関係するはずだし、言語や文化にも依存するはず)なので、2か3の2択。2は「火事だ!逃げろ!」みたいなケースを言っているのだが、命題が限定的すぎる(直接的表現が選ばれるのはそういう場合に限られるかのように読める)ので、無難な3を選択。

問4 3: これだけが積極的働きかけで、他の選択肢は相手に遠慮したり距離を置いている。

問5 1: 3と4はあべこべのことを言っているので脱落、2は知らんがな。「この野郎!」とかも待遇表現と言えるはずなので無難に1を選択。

問題13

問1 2: つなげてひとつの文として成立するのはこれだけ。

問2 4: 繰り返しは強調、確認、間を持たせるのに役立つので1~3はおかしい。

問3 3: 初対面になれなれしい3を選択。1に違和感を感じる人がいてもおかしくないので微妙な問題ではある。

問4 2: アコモデーション理論と言うと典型的には相手に歩み寄る方(コバージェンス)がよく登場するが、このように敢えて反発する方(ダイバージェンス)もある。

問5 4: 1は逆(相づちが多いのは日本語の特徴)、2は会話力の訓練にならない、3はゴールとしては正しいかもしれないが指導法として有効とは思えない、ので無難な4を選択。

問題14

問1 1:山のあなたの空遠く」ってあるよね。

問2 1: 4は「俺様」の現在の使われ方があきらかに間違ってるので明らかに脱落だが、他の選択肢は過去の使われ方を知らないと選択できない。どうでもええやんと思いつつ、「お前」の語源は「御前」というトリビア的知識から1を選択。

問3 3: 希望・願望は一人称しか主語になれない。主語を「あいつは」とかにしてみれば一目瞭然。

問4 1: これは選択肢の日本語がおかしいので悪問。少なくとも2と4は脱落(年上の親族は「おじいちゃん」のように親族名称で、年下の親族は「〇〇ちゃん」のように名前で呼び、「あなた」のような人称代名詞は使わない)。よって1と3の2拓だが、「年上の親族に対する自称詞」という日本語が意味不明。年下が年上に対して話す際に用いる自称詞のことなのか、それとも年上が年下と話す際に自分に対して用いる自称詞のことなのか、どっちゃねん。日本語には「おじいちゃんは昔ね…」みたいに年上が年下と話すときに自分を親族名称で呼ぶ特徴があるので、きっとそれのことを言っていると思われる1を選択しておく。3は名前で自称するのは子供やかわいさの演出のためで、年上/年下という相対的な関係と必ずしも結びつかないので避けておく。

問5 2: 「男性の『私』の多様は不自然」という命題自体もおかしいが、ジェンダーの押し付けという面でも指導として不適切。

問題15

問1 2: JLPTの海外受験者数は日本国内より多い。ずばり知らなくても類推で絞り込み可能な優しさのある問題。

問2 2?: 知らんがな。アルク速報は2。

問3 1?: 知らんがな。留学の準備として必要な能力は何か?と考えて若干異質な1を選択したらアルク速報とは一致。

問4 3: 主観テストは評価がブレるし採点に時間がかかるので、その特徴に反しないのはこの選択肢だけ。

問5 2?: 知らんがな。アルク速報は2。

問題16

問1 3: よくわからんので消去法で。1は「国語教育の歴史は16世紀まで遡ることができる」と言っているが、本文の「国語は近代(明治あたりと解釈)になって成立」と食い違うので脱落。2は成人に限定しているので脱落。4は例えば「げんき」が検定教科書なわけないので脱落。よって残った3を選択。

問2 1?: 知らんがな。アルク速報は1。確かに「戦後」の話をしていることに着目すれば2~4は明治頃の話っぽいので脱落かもしれない。

問3 4: 他の選択肢はよくわからないが4だけは明らかにおかしい。標準語という言い方に対して「いやいや、東京の言葉が特別に標準・規範というわけではなかろう」みたいな話があって、共通語という概念が後から普及したはず。

問4 2: 明治の文学者が言文一致を試みたのは有名な話だが、ずばり知らなくても他の選択肢がおかしいので簡単に絞り込める。1は口語に合わせていく言文一致の方向性と逆、3の学制は言葉と関係ない、4は大日本帝国憲法は「第一条 大日本帝国万世一系天皇之ヲ統治ス…」と文語で書かれている(一方で日本国憲法が口語で書かれたのが画期的だったはず)。

問5 4?: 機関名が明らかにおかしい1以外は微妙で絞り込めなかった。アルク速報は4。