アメリカ英語の発音ノウハウ (1) ~ イントロ
アメリカ英語の発音についてシリーズ記事を書いてみようと思います。
おそらく10年以上前だったと思いますが、アメリカに住んで英語の勉強をしているとき、確か "THE SOUND AND STYLE OF AMERICAN EINGLISH: INTONATION & SYLLABLE STRESS" というタイトルの資料をたまたまネット上で発見しました。それは印刷物を低解像度でスキャンしたような汚い資料で、アメリカ英語における舌の位置や口の筋肉の使い方が詳細に説明されていました。例えば「舌の基準位置は言語によって違います。アメリカ英語ではこれこれこんな位置です。非英語圏の人には難しいのだけれど、まずは無意識にこれができるようになりなさい」って書いてあって、実際にやってみると本当にちゃんと周りのアメリカ人と同じ音になるんですね。日本の学校では「[ə]は力を抜いて軽くアと言う」とか「[æ]はエとアの中間」とか教えられてたわけですが、なんて幼稚な教え方してくれたんだコノヤロー、と思うくらいのブレークスルーが一瞬にしてもたらされました。
このノウハウ、私としては一人でも多くの日本人英語学習者に知って欲しいもので、本来なら資料のURLでも紹介したいところなのですが、残念ながらそのURLはすでになくなっています。タイトルでググってもそのものずばりは見つかりません。(→後日元ネタが見つかりました!)
というわけで、このノウハウを私自身の記憶と解釈に基づいて書いていこうと思います。スタンスは次のような感じで:
- 私は英語や言語学は好きですが決して専門家ではないので、学術的には不正確なことを言っている可能性があります。それでも「自分はこう理解することでブレークスルーを得た」というところをあまり神経質にならずに紹介していこうと思います。最終的には各自が納得いく理解を自分自身で構築していってください。
- 私個人は、実のところ発音の正確さはアメリカ英語でのコミュニケーションにおいてそんなに重要ではないと思っています。アメリカは移民の国であり、へたくそな英語も比較的受け入れられやすく、発音の正確さより論理性や明示性などもっと重要な要素があるからです。ただ、発音の基本原理の理解が欠如していると、自分自身フラストレーションがたまるし、リスニング力も上がらない(再生の仕方がわからない音は聞いても理解できない)と思うので、そこを解消するあたりを目標とします。
- ネイティブスピーカーの発音を聞かずに書かれていることだけを練習しないでください。私はそこまで洗練されたノウハウや練習方法は書けません。ちゃんとネイティブスピーカーの発音を聞いて「ああ、確かにこうすると彼らの音に近づくなあ」ということを確認しながらトライしてください。
- 単に「英語」と言ったときにはデフォルトで「アメリカ英語」を意味すると思ってください。
具体的には次の3つのノウハウを紹介していきます。件の資料の第1章に書かれていた、私に最も大きなブレークスルーをもたらしてくれた最低限のポイントです(これに比べたら第2章以降はどうでもいい話だったので全然覚えていません)。主に母音の共鳴の作り方の話です。
- 舌のホームポジションを英語モードにする。舌の奥を低く下げ、口を開けたらのどちんこが見えるくらいの位置にする。
- 顔の筋肉の使い方を英語モードにする。顔の前方(唇の周り)の筋肉を緩め、後方(顎の周り)の筋肉を使う。
- 舌の奥の動きを大きく使う。rとか二重母音とかで重要。
他にもいろいろなノウハウはあると思いますが(例えばリズムやアクセントの話、各子音の話など)、私があまり特徴のあることを語れない話題についてはあまり触れないことにします。それらは他の教材を見てもらった方がよいと思いますので。もしくは、興味のある話題があれば質問していただければできる範囲で拾いたいと思います。
続く。