前回の続きでへっぽこの使う鏡筒を紹介するよ。
Borg 36ED
口径36mm・焦点距離200mの超小型望遠鏡である。x1.1専用フラットナーと合わせた時の解像度は素晴らしく、視野が広いのにもかかわらずいかにも望遠鏡らしい像が撮れる。構造がめちゃくちゃ簡単で軽く、ちゃちゃっと気軽にセットアップして撮っても失敗が少なく、さらに撤収も簡単なので、腰の重いへっぽこも「ちょっと暗い空まで持っていってみようか」という気になる。
フラットナー込み焦点距離220mmの視野は結構広く、それでいて解像度も高いので、複数の星雲・星団をそれぞれディテールを保ちつつ一度に収めることができる。
こちらは横浜市戸塚駅付近の空で撮ったもので、見えないものを無理矢理見えるようにするへっぽこの本領発揮と言える。
北アメリカ星雲のようなでかい対象を収めるのにもよい。これは珍しく光害の少ない空で撮ったもの。
このように若干マニアック*1なものの、常に不安なく使えてシャープないい鏡筒だったのだが、残念なことにフラットナーがディスコンになってしまったようだ。フラットナーなしでは星像の歪みが大きすぎてちょっとおすすめできない。今この焦点距離が欲しかったら、普通のカメラレンズで収差が少なく解像度の高いものを選ぶというのが無難な発想だろう。
番外編: Tamron 18-200mm F/3.5-6.3 Di Ⅱ VC
たまに暗い空に行くとついでに(明るい街中ではなかなか難しい)星野写真も撮っておくことが多く、その時に使うのがこの普段使い用レンズ。天体写真クオリティの高級レンズでも何でもないので、像は「そこそこ」である。ただ問題はレンズそのものよりもフィルタを仕込むのが難しいことにあり、特にフィルタが必須の改造カメラを使う場合には無理が生じてくる。望遠鏡だとカメラを取り付けるアダプターのあたりに48mmフィルタをねじ込める場所が何かしらあるのだが、Eマウントのカメラレンズだと前面に付けるしかなく、これだとケラれる・縞状のゴーストが出る・斜めから入射する光の透過特性が変わる等々の問題でなかなか思い通りにいかない。
まぁ少々の無理は通すのがへっぽこであり、例えばこれはフィルタなしで赤外も紫外もどんと来い!と大らかに撮ったもの。天の川も星雲・星団もよく見えていて、これはこれでいいじゃんと思える。
もうひとつ Sigma 30mm F2.8 DN というレンズもあって、これでオリオン座バーナードループに挑戦したのがこちらである。
HEUIB-IIフィルタをレンズの前に取り付けて撮っているので、おそらくはケラレと薄膜干渉フィルターの「斜めに入射する光に対する分光特性が短波長側にシフトする」性質のため、元データは下記のように色むらがひどいことになっている。また、このレンズは背景の細かい星像がなぜか紫や緑といった変な色の顆粒状に写るという不思議な欠点がある。虫の卵みたいで汚く気分が悪いのだが、それでも目当ての星雲は一応写っているので、後処理を頑張れば上のような像くらいは掘り出すことができる。60秒×10枚でこれだけ見えれば大したものだろう。
調べてみたら実はこんなものが売られていた。キャノンEFレンズをソニーEマウントのカメラに付けるためのアダプターで、IDASのフィルタをさせるようになっている。本格的に投資するならキヤノンのレンズを買ってこういうアダプターを使う手もあったかもしれない。
*1:一見シンプルだがフラットナー・鏡筒(本当にただの筒)・ヘリコイド・アダプター等々を買い揃えて行くとトータルでお値段はそれなりにする。