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米国カリフォルニアのソフトウェアエンジニアがIT・自転車・音楽・天体写真・語学などについて書く予定。

日本語教育能力検定試験(2019年)を受けた ~ 素人的解説速報 試験III 前半

前回に続いては試験III。このセクションは山勘がさえわたり、自己採点90%というハイスコアをマークしました!

問題1

問1 1: 「動作主が対象の変化を引き起こす」のがずばり他動詞の特徴。2は相互動詞(例: 結婚する)、3は「ある(あります)」、4は「だ(です)」の説明っぽくていかにも違う。

問2 3: 他の選択肢は能動態にすると「先生が掃除を頼む」「知人が夫を批判する」「若者が席を譲る」とアクションの向きが逆になるが、3の「花子に先に就職される」は能動態にしても「花子が先に就職する」となって向きが変わらない。

問3 4: この「語末が -asu」 というのは「壊す」「流す」とかのことだと思うが、これって自動詞じゃなくてむしろ他動詞なのでおかしい。1は「他動詞しかない動詞は受身にすることで自動詞化できる(予定を変更する→予定が変更される)」ことを言っている。2は「歩く」のような意志的な自動詞と「(ドアが)開く」のような非意志的な自動詞の存在を言っている。ちなみに他動詞はどうなんだと言うと、多くは意志的だが「(財布を)落とす」のように非意志的な用法もある。3は問1の回答「他動詞=対象の変化を引き起こす」からその自動詞版は論理的に当然「自動詞=主体に変化が起こる」になる。

問4 2?: 少なくとも3と4は文章自体に矛盾がある(「〇が△に先行する」の向きが明らかに逆になっている)ので脱落となり、1か2の二択。アルク速報は1だが、私は2だと思う。1は「『本を読めば』等の条件を表すレバ説にはヴォイス形式のみ出現できる」と言っているが、「本を読んでいれば」のようにテイル形のアスペクトも出現できるので誤りだと思うのだが…?*1

問5 4: 「話し手にとってより身近な人に視点が置かれる」は、必ずしもそうでない気もするが、選択肢の中で違和感が一番小さい。1は主語にそんな条件はないし、2は「傘が雨で濡れた」とか言えるし、3は迷惑は話し手の視点から述べられるのが普通だと思う。

問題2

問1 2: 「白くなる」を「白うなる」というのは東京方言ではない。ちなみに4は「若い」が「わけー」になる話でこれは江戸っ子らしい。

問2 3: 「受身形と可能形の分化」とはいわゆる「ら抜き言葉」のこと。ら抜き言葉の問題は頻出。

問3 1?: 3は調音法が、4は調音点が明らかに違うので脱落。1か2の2択のうち、私は2を選んだが、アルク速報は1だった。よく見たら2には硬口蓋であるべきところ軟口蓋と書かれており、してやられたようだ(´・ω・`)

問4 1?: アルク速報は1。私は英語母語話者は「月」を[suki]とは言わない(言うなら[tuki])だろうから1を落とし、またスペイン語の母音は3つではないので3を落とし、2と4の2択を山勘でマークしたが、中国語と韓国語の音韻を知らないのでまぁ的外れでも不思議はない。

問5 3: 違いが可視化できる([Φ]は唇を狭めるが、[x]は狭めない)のはこれだけ。1はリズム変わらず、2は有声音のタイミング変わらず、4は鼻音変わらず、で的外れ。

問題3

問1 4: 「事態の開始・終了」があるのはこの「舞う」だけ。他は状態変化*2

問2 4: 漸次的な変化なので「だんだん」を付けて自然かどうか?と考えればこの「痩せる」が残る。

問3 2: 1は「どうか」が陳述なので脱落、3も「すぐに」が時間(「決まる」という事象がいつ発生したかを表すものでその様相を表しているわけではない)なので脱落。2と4はともに程度+様態に見えるので迷うが、動詞が2はアクション、4は状態*3なので、本文の主旨に近い2を選択。

問4 1: 2には「さん然と」の「と」は並列じゃない、3には「あれ」は「ある」の連用形じゃない、4には「やすく」は「やすい」の連体形じゃない、という明らかな間違いが含まれているので消去法で1。

問5 3: 1と2は誤用の説明になってないし、4は急遽の説明になっておらず、3だけが適当。

問題4

問1 4: 「見る」「出掛ける」「できる」だけ規則的な一段動詞で統一されている。1は「ある⇒ない」という例外が、2は「いい⇒よくない」という例外が、3はイ形容詞とナ形容詞が混ざっている。

問2 2: 英語のYes/Noは肯定文/否定文に付くと決まっているが、日本のはい/いいえは同意/反対という意味であって使い方が違う(ビジネス英会話で「~じゃないってこと?」と聞かれて日本人が「Yes」と答えて会話を混乱させるのはしょっちゅうである)。他の選択肢は、1は「疑問詞疑問文の応答にも使用できる」が違うし、3と4は「はい」に関する記述と混ざっている。

問3 1: これは否定の焦点が「一人でじゃありません」であって下線部「じゃありません」ではない。他の選択肢は「電車でじゃありません」「わざとじゃありません」「お金が欲しくてじゃありません」で下線部と否定の焦点が一致。

問4 3: ここで話題になっている二重否定は消極的肯定のニュアンス。

問5 1: 「使ってもいいですか」に対して単純な否定応答「よくないです」は適切ではない。他は単純否定応答で問題ない。

問題5

問1 4: ウォームアップには復習や簡単にできるアクティビティを使うもの。1や2のように新出語彙や目標文型を使ったり(それは授業本体ではないか)、3のような緊張感を与えるようなことは適切ではない。

問2 2: 媒介語を使わず帰納的学習に頼る直接法の話をしているのに「意味を推測させないようにする」とはこれ如何に。

問3 3: 文字通り文を拡張していくので拡張練習。

問4 1: 応用の趣旨をストレートに表すのはこれ。2の流暢さは応用力と無関係、3は本物でなくてもロールプレイは役に立つ、4は情報差を埋めることが応用力を育てる、というわけで脱落。

問5 2: 「あげる」の謙譲語は「差し上げる」という特殊パターンなのに「おあげする」と言っている誤り。1は「春」を主語にするのが悪いのではなく「もらった」という授受表現が悪い、3は使役形を用いた誤りではなく可能形にしていない誤り、4は主語が異なるわけではなく「もらった」という授受表現の方が悪い。

問題6

問1 3: 「持っていく」は「行く」に付帯状況的な「持って」が追加されたもので、これと同じなのは「連れていく」。1や2は漸次的変化の「いく」だし、4は「食べてから行く」なので違う。

問2 1: 自己評価は自分に閉じた反省や計画には使えるが、他者との比較には不向き。

問3 3: 教案作成で「想定しないでぶっつけ本番にすべきである」が正解であることなどまずない。1は「分単位で把握」がそこまでする必要あるか?と微妙な感じだが、3ほどおかしくはない。

問4 4: この教案の問題は、言語を使って課題遂行にあたってのハードルを越える要素(他人と話して情報差を埋める、選択を行う等)がないこと。一番近いのは4。

問5 4: 設問事態が曖昧だと思うが、常識的に最も無難な4を選択。1は複数の教師でレビューするんだから複数の観点で検討したいはず、2は「自分に限界を定めず」はよいが実際に取り組む課題は絞らないと手に負えなくなるはず、3は「普遍的な方法」は必ずしも悪くないけどコンカレントな状況を無視すべきではないはず、と考えて脱落。

問題7

問1 2: プレゼンテーションの常識的にこれ。1は時間を超過しそうなときはポイントを絞るべきだし、3はトーンやテンポは抑揚を付けるべきだし、4は専門家でないと通じない表現は使わないようにすべき。

問2 1: ルーブリックは評価項目ごとに尺度を記した二次元の表なので1か2の2択。2の「大規模な客観テストに向いている」は変な気がするので脱落。

問3 2: アニメーションを使うのはいいが、「多用する」とか「効果音を使う」はやり過ぎ。他はまあ妥当。

問4 3: 1は「ら」→「ん」の交替、2は「行けません」を「行かれません」と言っているもので、ともにら抜き言葉ではない。4は普通の使役でさ入れ言葉ではない。3はまさにさ入れ言葉

問5 1: 常識的に質疑応答ではスライド参照するのでこれはおかしい。他の選択肢はまあOKだが、4の「意図を汲み取れ」はすごく日本人的で「そんなこと言われても」っていう人もいるかもしれない。「質問意図がわからなかったら意図を確認する質問をする」とかの方が良問だったと思う。

問題8

問1 2?: アルク速報は2。私はCLILの詳細を覚えていなかったので、1か2の2択まで絞り込んで山勘で1にした。*4

問2 1: 内容と語学とを並行して学ぶという目的に対し、これでは語学力がストレッチできないし、内容を学ぶ資料としても制約厳しすぎて有効でないのは明らか。

問3 2: 詳細に囚われず大意を把握するのはスキミングそのもの。

問4 1: これは知らなくても形を見ればわかる。

問5 1: 微妙な選択肢たちだが、無難なことしか言ってない1を選択。4はグループ活動とは別に個人活動を設けている意義がなくなりそう、3は「できるだけ多く」が極端、2はよくわからないがやはり何らかのかたちで自分の意見を書かせるのだろう。

 

続く

 

 

*1:後日出たヒューマンアカデミーの速報は2だった!Yay!

*2:後日わかったのだが、これは仁田義雄の分類によると結果副詞というらしい。

*3:つまり問1と同様に「ぽかぽか」は結果副詞と思われる。また「だんだん」https://nihongokyoiku-shiken.com/summary-of-adverbs/ では程度副詞になっているが、形容詞を修飾できないので違うというのが本当らしい。

*4:ヒューマンアカデミーの速報は1だった。Yay!