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米国カリフォルニアのソフトウェアエンジニアがIT・自転車・音楽・天体写真・語学などについて書く予定。

初めて買う天体望遠鏡のおすすめ

アメリカでこれから天体望遠鏡を買いたいという人に何をおすすめしたらよいか。"telescope for beginners" でググってよさそうな記事を探してみたところ、これが筆者の考えに近い。この記事の推しは8インチドブソニアンである。

astrobackyard.com

本記事に筆者の観点を付け加えるならば:

  • 「自分は天体写真を撮るくらいまでハマるだろう」という確信や予感がない限り*1、専ら目視観測を前提として、どうすればアイピースを覗いたときに最も "Wow!" と言える機材になるか?を考えるのがよい。
  • 目視での Wow! に最も効くのは口径である。口径により明るさ(どれだけ淡いものが見えるか)と解像度が光学的に決まり、倍率というのはそれをどのくらい引き延ばすかに過ぎない。個人的には8インチ(20cm)くらいあれば確実だと思うが、6インチ(15cm)でも初めての人には十分 Wow! だろう。したがい、8インチの口径は理想的だけど、自分にはちょっと大げさすぎるなぁという人は6インチドブソニアンに落としてもいいと思う。
  • 口径当たりのコストは、レンズを使った屈折式より鏡を使った反射式の方が断然安く、反射式の中でもドブソニアンが最も安いので、必然的に第一のお勧めはドブソニアンになる。
  • マウントは経緯台(alt-azm)がよい。ドブソニアンも経緯台である。赤道儀(equatorial)は設置のたびに極軸合わせが必要で、現代においては天体写真を撮らない限り不要と考えてよい。*2
  • コンピューターによる自動導入や導入補助は、観測時の大きな time saver となり 総 Wow! 度が上がる。口径の代わりにこちらに予算を振り向けてもいい。

もうひとつ筆者が面白いと思ったリストはこちら。口径は小さめになるが、手軽なテーブルトップドブソニアンやコンピューター制御経緯台のモデルが並んでいる。値段も手頃なようなので、この中からピンときたものを選んでもいいと思う。口径10cmを下回るとさすがに Wow 度が下がると思うので、筆者のお勧めはやはり口径10cm以上である。

www.skyatnightmagazine.com

ちなみに、日本語のおすすめも見てみようと「天体望遠鏡 入門 おすすめ」でググってみたところ、なぜか日本はやたらと屈折望遠鏡推しのようだ。住宅事情のせいか?湿度が高くて鏡にはシビアな環境なのか?もしかしたらレビューを書く人が消費者視点ではなくショップ視点なので「反射式は光軸調整が必要」のような細かいことを気にしすぎる*3のかもしれない。

*1:もし天体写真も視野に入れるならば拙記事 へっぽこ天体写真のススメ を見て考えてもらえるとよい。

*2:特に経緯台にもコンピューター制御によるトラッキング機能が付く昨今、モータードライブのない手動の赤道儀を買う理由など筆者には思いつかない。

*3:反射式だと光軸調整が必要になるのは確かだが、大きな口径で Wow! を楽しんでいるうちはそんなの気にならないでしょ。筆者も最初の反射望遠鏡を買ってから何年も光軸調整なんてやったことなかったよ。