Bose QuietComfort 35 IIをPCにAAC接続する
ワイヤレスのちゃんとしたヘッドフォンを試してみようと、Bose QuietComfort 35 II を入手してみた。Refurbished で$200前半と値段休め、返品期間90日と評価にはちょうどよい感じである。
早速普段使いのWindows PCに接続したところ、非常にがっかりな音質であった。強烈な圧迫感の中に音がごちゃごちゃと詰め込まれて不愉快極まりない。このところずっとSennheiser HD558などオープンエアー型に慣れていたので、なおさらきつく感じたかもしれない。
ところが、試しにAndroidスマフォにつなげてみたところ、これが見違えるような音になったのである。スネアドラムの「スパァァァン」や、シンバルの擦れる音やゴーストノートなど、高音の立体感がてきめんに違う。おお、これが君の実力だったか、窓から投げ捨てるのはちょっと早いかもしれない。
PCとQC35をAAC接続してみる
なぜこのような違いが生じるのだろう?調べてみるとQC35はSBCとAACという2つのコーデックをサポートしていて、Androidは高音質なAACを使ってくれる、Windows 10はAACをサポートしておらず低音質のSBCになってしまう、という違いがあるようだ。これが体感音質にどれだけ効くか理論的な確証はないが、両方のデバイスで様々な接続方法を試してみて、おそらくこれが原因だろうという結論に至った。
そこで、PCとこのヘッドフォンをなんとかAACで接続できないか?とやってみた。「無理にPCを使わなくても音楽を聴くときはスマフォにすればいいじゃないか」という話もあるのだが、音飛びやタイミングずれがときどき起こる、PC上にロスレスで取り込んだデータをスマフォで聴けるようにするのがめんどくさい、とにかく技術的に試してみたい、等の理由があるので気にしないことにする。
かなりテクニカルなのでQiitaの記事にした:
これで体感的にはスマフォと同等の、満足いく解像度・臨場感になった。(プラシーボ効果でないことを証明することはできないが、たぶんそんなことはないと思う。)
ただQC35の実力を引き出すためだけに専用VMをひとつ立ち上げ、Bluetoothドングルの接続を(仮想的にとはいえ)がちゃがちゃ切り替えるのは一般にはバランスのよい解とは言えないかもしれない。まぁこれらのBluetoothオーディオコーデック仕様は比較的新しく登場したもので、異なる仕様が存在し、ベンダーによってサポート仕様が食い違うという状況なのは仕方ないと思うし、そもそもそういうめんどくさいものなのだから、この解は個人的には「あり」である。
高音質Bluetoothコーデックについて
これを機にちょっと勉強してみたところ、現在押さえておくべき高音質Bluetoothコーデック仕様は次の3陣営。
Windows 10はaptXならサポートしているらしい。iOSはAAC。AndroidはPixel 4の開発者オプションを見る限りどれも選べるが、実際に何が動くのかは機種によって異なると思う。
ヘッドフォン側のサポート状況はかなりバラバラっぽい。感覚的には AAC > aptX >>> LDAC の順でサポートが多い感じだろうか。QC35のようなミッドレンジ以上の価格帯のヘッドフォンを買うなら、自分の再生機器に合ったものを買わないと、ヘッドフォンの実力を活かせず残念なことになってしまうというわけだ。
今後の展望
今回初めて「Bluetoothがアナログを越えた」と実感できたので、今後もワイヤレスヘッドフォンを使っていきたいと思ったが、このQC35を使い続けるかというと少々疑問である。調べてみるとSennheiserのPXC 550-IIやMomentum 3がaptXをサポートしており、音質も評判いいようなので、そちらも評価してみようと思う。よかったらQC35は返品することにしよう。