hogehoge, world.

米国カリフォルニアのソフトウェアエンジニアがIT・自転車・音楽・天体写真・語学などについて書く予定。

初めて買う天体望遠鏡のおすすめ

アメリカでこれから天体望遠鏡を買いたいという人に何をおすすめしたらよいか。"telescope for beginners" でググってよさそうな記事を探してみたところ、これが筆者の考えに近い。この記事の推しは8インチドブソニアンである。

astrobackyard.com

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Kindleで読める(竹田青嗣・西研の)現象学の本

エトムント・フッサール現象学とは、近代哲学の一分野で、人間が普段「世界とはこういうもの」とあたりまえに思っている確信がどう成立するのかを解明し、信念対立の克服や共通認識の確立を目指す学問あるいは方法論である。筆者が以前書いたこんな記事(「日本人が「在宅勤務は生産性ダウン」と感じる理由」)現象学的内省に基づいている。

実は筆者が「…である」などと言ってしまうのは語弊があるかもしれない。より正確には、竹田青嗣西研といったフッサール現象学をそのような視点で紹介・解説している人たちがいて、筆者は彼らの著作を読んで現象学を理解し、日常的にツールとして役立てていますよ、ということだ。彼らの現象学解説には、ガチ哲学者視点からは「独自解釈を入れすぎている」「これはフッサール現象学ではなく竹田現象学だ」などと批判もあるということを一応言っておく。現象学の「日常的に役立つツール」としての側面に興味があるのであればあまり気にしなくてよいだろう。*1

さて、その(竹田・西の)現象学を知るにはどの本から入るのがお勧めだろうか?また、海外からぽちっとすぐに読めるKindle版はあるだろうか?

*1:学問的に正統な視点にも興味のある人は、新田義弘の著作が評判いいので読むといいかもしれない。筆者も一冊読んでみたが、まったく興味の対象外だったので人それぞれということだ。

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へっぽこ天体写真の鏡筒(その2)

前回の続きでへっぽこの使う鏡筒を紹介するよ。

Borg 36ED

口径36mm・焦点距離200mの超小型望遠鏡である。x1.1専用フラットナーと合わせた時の解像度は素晴らしく、視野が広いのにもかかわらずいかにも望遠鏡らしい像が撮れる。構造がめちゃくちゃ簡単で軽く、ちゃちゃっと気軽にセットアップして撮っても失敗が少なく、さらに撤収も簡単なので、腰の重いへっぽこも「ちょっと暗い空まで持っていってみようか」という気になる。

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Borg 36ED (カメラから分離してるところ)

フラットナー込み焦点距離220mmの視野は結構広く、それでいて解像度も高いので、複数の星雲・星団をそれぞれディテールを保ちつつ一度に収めることができる。

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オリオン座の三ツ星と馬頭星雲周辺
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へっぽこ天体写真の鏡筒(その1)

前回紹介しきれなかったものを含めて、へっぽこが天体写真撮影に使っている鏡筒を紹介しよう。

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Orion SkyView Pro 8" ニュートン式反射鏡筒

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上の鏡筒で撮影したM13ヘルクレス座球状星団

なお本文中の価格は筆者購入時のものであり(2013年~2015年頃が多い)、現在ディスコンで価格が見られないものも多く、記憶に基づくおよその値であることをお断りしておく。

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へっぽこ天体写真のススメ

筆者はへっぽこ天体写真を撮る。ここで「へっぽこ」というのは、ずぼら、あるいはインドア的な性癖ゆえ、天体写真が通常目指すところからズレた(と見做されそうな)方向に向かって努力する姿勢や価値観を指す。例えば下記のような価値観に共感できるなら、あなたにもへっぽこの素質があるかもしれない。

  • 暗い空を求めて遠出するのが嫌い。「どんな高価な機材よりも暗い空」なんてことはわかっているけど、めんどくさいじゃん。代わりに光害カットフィルターやフラット補正に金と労力をつぎ込むよ。
  • 重い機材を持ち運ぶのが嫌い。「マウントがしっかりしてないとそもそもいい像は撮れない」なんてことはわかっているけど、重くて面倒だからと撮らなくなったら本末転倒じゃん。星像が安定しないなら露出時間を半分にして倍の枚数撮ればいいじゃない。細かいブレには目をつぶって、全部コンポジットに放り込んでσクリッピングすればそこそこ見れるよ。
  • 後処理に時間をかける。そもそも質のいいフレームが撮れれば後処理で苦労しなくて済むのはわかっているけど、外は寒いしコントロールできない要素も多いわけで、暖かい室内で現代の高度なデジタル技術と戯れるのに時間を割いてもいいじゃない。いいCPUと大きなメモリを買って、いい画像処理ソフトウェアを入手して、たくさん勉強&実験して、ベストプラクティスを探し出すよ。
  • 美しさよりも「技術の力で見えないものが見える」こと自体に楽しさや喜びを見出す。背景がザラザラとか、カラーバランスが悪いとか、そういうのは気にしないわけではないが二の次だよ。別にコンテストに出すわけじゃないしさ。

特に最後の項目はへっぽこの本質かもしれない。要は「この街中から○○星雲が見えた!何万光年の距離からやってきてレンズに飛び込んで来た光子すげぇ!IDASのフィルタすげぇ!ソニーイメージセンサーすげぇ!デジタル画像処理すげぇ!」というところを楽しむのである。もちろんスタンダードな価値観を否定したいわけではなく、たまに暗い空で撮るのは楽しいし、できれば美しく撮るに越したことはない(筆者も自分のベストを選んだら暗い空で撮ったものばかりになる)。ただ「このマウントはやわですね」とか「星の色がつぶれてますね」とか無邪気に行ってくる輩に対しては、「天体写真を趣味とする人々の中にはこのようなへっぽこが存在するんですよ」と教えてあげたくなる。ごちゃごちゃ言わず、こういうの↓が撮れたら単純に楽しいでしょ?

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M42オリオン大星雲

なお、へっぽこは「要求水準が低い(=いいかげん)」とか「努力や出費を惜しむ(=怠ける)」こととは異なる。むしろ価値観や欲求が独特であり、それを満たすために独自の探求やDIYを余儀なくされるため、結局人並以上の労力やお金がかかることもままある。投資や手段がその時々の自分の目的や身の丈に合っているかどうかは気にするが、トータルで割安かどうかはあまり意に介さない、というのもへっぽこの性質の一つと言えるだろう。

このようなスタンスで天体写真を趣味としている人間は世の中で筆者だけだろうか?もし他にいるとしたらそのような人々を元気づけることはできないだろうか?そういった考えからへっぽこ天体写真記事を書いてみる次第である。「私もへっぽこかもしれない」「そういうへっぽこなら私も興味がある」という方々のお役に立てれば幸いである。

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トンガの火山噴火による気圧変化(続き)

前回に続いて気圧変化を観察していると、また急激な変化がちょいちょい現れている。また噴火したのかと思ったら、どうやら地球が丸いかららしい。

前回示したのは最短距離で最初に到達した波(1)だが、その次に地球の反対側を回ってやってくる波(2)があったようだ。(1)はおよそ8,500kmを8時間でやってきたので、地球一周40,000kmとすると反対周りはざっくり31,500kmを28.6時間かけてやってくる勘定になり、ちょうど計算通りの位置に急激な上下動が現れている。さらにその後、最初の波(1)が地球を一周して36時間後(3)に再びやってくるはずだが、ここはタイミングぴったりではなく2時間ほど早めに大きな変化が記録されている。この理由はよくわからない。

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トンガの火山噴火による気圧変化

トンガで大きな火山噴火があったが、うちの気圧ログにもその影響が記録されていた。横軸はUTC時刻、縦軸の単位はhPaである。

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下記ツイートによると、噴火時刻が15日4時(UTC)、衝撃波の速度が1100km/hとのこと。現場からカリフォルニアまで約8500kmなので、8時間後の12時に気圧の急激な上下が記録されているのとちょうど合う。さらに14時頃に現れて減衰する振動も、普段はこんなデータ見ないので、余波のようなものだろうと思われる。

あちこちで公開されている衛星からの映像を見ても、これが尋常でない規模であることが見て取れる。影響・被害を受けた方々が無事に乗り越えられることをお祈りします。