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米国カリフォルニアのソフトウェアエンジニアがIT・自転車・音楽・天体写真・語学などについて書く予定。

「ドッグ・ファイター」(超時空要塞マクロス挿入曲)の弾き方

80年代に超時空要塞マクロスを見ていた(当時の)子供であればこの曲は覚えがあるだろう。羽田健太郎先生の「ドッグ・ファイター」である。この曲のギターのメロディーを10年ほど前に弾けるように練習したのだが、以後曲に対する理解も変化したので、この度改めて採譜しなおし、バッキングトラックも最新の音源で自作し、チュートリアル的な動画に仕立てて公開してみた。

【弾いてみた】ドッグ・ファイター / 超時空要塞マクロス (ギタータブ譜 & 練習用トラック)【君も弾ける】 - YouTube

youtu.be

私は当初この曲はロック的に解釈してかっちりリズムで弾いていた。しかしその後他の人の演奏を聴いたり曲について調べたりしているうちに、リズムや節回しに独特の揺れがあることがわかった。それもそのはず、オリジナルの演奏はロッカーではなくジャズギタリストで、今も現役で活動されている直居隆雄氏という方だそう。そういう背景を尊重すると、解釈や弾き方も若干変わってくる。 

本記事ではこの「思いのほか奥の深い」ギターパートの弾き方について少し解説を加えてみることにする。まぁ本来こういうのは「見て・聴いて好きなように弾いてください」でよくて、細かい解説は正直野暮で私の趣味ではないのだが、これで上の動画のチュートリアルとしての有用性が上がるのであればやってみる価値はあるかと思う。

ギターパート解説

リズム・音程ともにはっきりしない部分も多く、そのまま譜面に記録することはなかなか困難な演奏である。研究対象としてなるべく客観的に・機械的に採ろうと試みたが、最終的に単純化や近似を入れたり、採譜者の私の「きっとこう弾きたかったのではないか」という解釈を入れざるを得なかった。逆に言うと、タブ譜通り忠実に弾くことにそれほど意味はない。各プレイヤーが自分にはこう聴こえる、自分ならこう歌う、という感覚を大事にしてもらえればと思う。かく言う私自身、タブ譜通りには弾いていないし、動画中の2回の演奏でさえ完全に同じではない。

以下部分ごとの注釈である。小節番号は動画上のタブ譜の小節番号を用いる。導入のアフタクト部分が1になっているので、音楽的には1小節ずれているように感じると思うがご承知いただきたい。

  • 小節1: 長くゆっくりのスライド。
  • 小節3: 4拍目は詰まり気味で3連符に近い。
  • 小節5: 何度聴いても正確にわからない。適当でOK。
  • 小節8: 独特の歌いまわし。プレイヤーの個性が出そう。
  • 小節9~10: オリジナルは一音一音強くはっきり弾いている。私の演奏はレガート気味。
  • 小節15, 20: スケール速弾きのリズムは独特で、音もところどころはっきりしない。無理にコピーせず、自分自身のリズム・フレージングでいいと思う。
  • 小節21: 3連はおそらくスイープで、独特のタメを生んでいる。
  • 小節26: 2拍目の15フレットはオリジナルの演奏では16分音符ひとつ分前に入っているのだが、ミストーンと解釈して2拍目ジャストで記譜した。
  • 小節30: タブ譜上の X は「何かなってるけどよくわからない」の意味で、特にミュートで弾けというわけではない。プレイヤーの好みでやりようはいろいろあるだろう。
  • 小節37~38: この3連もスイープで独特の揺れを出している気がするが、私は苦手&よくわからないので普通に弾いている。
  • 小節38~41: プリング・オフでのシーケンスフレーズは、スピード感と最後のタメの表現がポイントで、必ずしも均一に・キレイに弾けてなくてもよいかと。
  • 小節42~: ここから終わりまでは歌心がすべてなので、譜面に囚われなくてOK。

音源作成について

DAWとしてCubase 11を使い、ギターは録音、それ以外はソフトウェア音源による打ち込みである。全パート耳コピーであり、オーケストラの完コピは無理がある&オリジナルに似せようと頑張るとキリがないので、聴こえる音・採りやすい音から順に入れて、それらしく聴こえたところで打ち止めとしている。結果的にアコースティックギターやピアノの低音部が抜けており、そのため本物より中低域が薄い感じになっていると思う。

ソフトウェア音源は、Native InstrumentsのKomplete 13をメイン(ドラム、ベース、ピアノ、ブラス高音部、ストリングス)に、Cubase 11のおまけのHALion Sonic SE 3を補助的(ティンパニ、ブラス低音部)に用いている。

ギターのエフェクトはKomplete 13バンドルに含まれるGuitar Rig 6 Proを使っている。前バージョンに比べてだいぶ使い易くなっていると思う。ここで言う「使い易さ」とは、まずプリセットのままでいい音(自分のイメージに近い音)が出て、つまみを少しいじるだけでさらにイメージに近づく、という感じである。

Komplete 13バンドルのお値段が約$500(Komplete Audio 6オーナー割引込み)、まだ一部の音しか使っていないが自分的には満足のいく買い物であった。Komplete 13の力を試すためもうひとつ試しに打ち込んでみたものがあるので、興味のある方はどうぞ: 

Cobra ("Space Adventure Cobra" opening theme) by Yuji Ohno / コブラ by 大野雄二 (Remixed) - YouTube