hogehoge, world.

米国カリフォルニアのソフトウェアエンジニアがIT・自転車・音楽・天体写真・語学などについて書く予定。

日本語教育能力検定試験(2019年)を受けた ~ 素人的解説速報 試験I 後半

前回に続き試験Iの後半。

問題6

問1 2:「習慣強化」ときたら軍隊的なアーミーメソッドあるいはオーディオ・リンガル・メソッドでしょう。

問2 2: このパターンがAとBを比較・対照しているのは明らか。

問3 3: 「プロセス・アプローチ」は考えるプロセスに重きを置くメソッドだったはず。

問4 4: 「引用」しているのはこれだけで、しかもその方法が微妙に間違っている。正しく言うなら「山口は~と指摘している」「山口によれば~と指摘されている/言われている」といった表現だろう。

問5 1: ピアなんとかときたら、大抵は当事者同士で互いにを何かをしあう活動なので素直に1。

問題7

問1 1: これ以外は何かおかしい。3と4は逆のことを言っている。2は比較で語れない。

問2 1: 従来の「教室で基礎を教え、各自で復習・応用する」を「各自で基礎を学び、教室で復習・応用を学ぶ」と変えるのが「反転」の所以。

問3 3: ADDIEなんて知らんがな、でもAnalyze, Design, Develop, Implement, Evaluateの頭文字だと気付けば答えられる。

問4 2: URLの転載は(普通)問題ない。しかし私は選択肢を誤読してはずしてしまった(´・ω・`)

問5 4?: 知らんがな、アルク速報は4。

問題8

問1 3: ハイコンテキストで暗示的(聞き手責任)なのは日本の特徴。1の論理性、2の明示性(話し手責任)、4のインフォーマル性は逆にアメリカ的。

問2 1: バーバル=「言葉による」なのでストレートに1が正解だったようだが、私はひねってはずしてしまった。

問3 2: エポケー=判断保留を意味する哲学用語。

問4 1: これ以外はassertivenessに逆行。

問5 4: カルチャー・アシミレーターと言えばケーススタディ系の活動。

問題9

問1 3: プロトタイプ的ってなんだっけ?「そのものずばり」だったかな?というわけで実際に物が落下することを直球で表す3を選択。

問2 1: よくわからずそれらしいものを選択。

問3 2: 「服を」ときたら「掛ける」、という関係はコロケーションという。他は全然違う用語。

問4 1?: 知らんがな。アルク速報は1。

問5 4: 負荷軽減という主旨からしてストレートにおかしい。

問題10

問1 2: エラーは間違って覚えていること、ミステイクは運用上のうっかり。なお3と4はグローバルエラー vs ローカルエラーの話。

問2 3: 学習者の頭の中にあるエラーを含む言語体系=中間言語の話をしている。

問3 1: これだけ維持リハーサル。他は長期記憶内に位置付けるための活動。

問4 3: belief=信念、なのでストレートに3。ちなみに1はステレオタイプ、2はラポール、4はよくわからん。

問5 4: クラッシェンのモニターモデルで頻出のやつ。

問題11

問1 2: セリフの言い間違いを「噛む」と言うのは俳優や声優の集団語と言える。

問2 4?: 私自身は3か4の2択まで絞れたがよくわからず。アルク速報は4。

問3 3: ネオ方言と言えば「こーへん」に代表される混交スピーチスタイル。ところでなんでこの問題が頻出なのかよくわからん。

問4 1: 常識的にわかる。

問5 3: キャラ付けのために誇張して使われたりする。2や4は明らかにおかしい。1はちょっと微妙で、もともとキャラ付けがしっかりしてる主人公に役割語はあまり使われないということだろうが、忍者ハットリくんみたいに例外もある。

問題12

問1 1: カナダの公用語が英仏なのは有名な話。

問2 3: 私はスティグマ=「差別される者に植えつけられる劣等感」的な理解をしているのでこれ。

問3 3: 少数言語を守るんだから普通にこれ。

問4 4: 制限を掛けたり統一するのではなく選択肢を認める方針だったはず。

問5 2: 情報を敢えて絞って簡潔にする方針に2は逆行している。なお3のように「名詞よりも動詞を使った方がわかりやすい」というのはなかなか興味深いガイドラインである。

問題13

問1 2?: 知らんがな。アルク速報は2。

問2 3: これだけが言葉遊びの性質を持たない。

問3 2: 交渉=ネゴシエーションしてるのは2だけ。

問4 1: 「はいはい、わかりました、悪うございました」みたいなやつのことを言っているので1。他は逆のことを言っていておかしい。

問5 3: フィラーは言葉を探すときの「えーと」みたいなやつのこと。

問題14

問1 3: これは頻出。なおベトナムだけJLPT合格基準が違うというのも頻出。

問2~4: 知らんがな。アルク速報はそれぞれ2, 4, 1

問5 3: 英語併記したら日本語力なくても通っちゃうんじゃね?と思い3を選択。

問題15

問1~2: 知らんがな。アルク速報はそれぞれ3, 1

問3 4: 天下り先になっているとか不要論もあるちょい悪団体。

問4 2?: 留学生数全体は「中ベネ」の順に覚えていたのに、その選択肢がない…よく見ると「法務省告示云々」とか知らんがな。アルク速報は2。

問5: 知らんがな。アルク速報は4。 

 

続く

日本語教育能力検定試験(2019年)を受けた ~ 素人的解説速報 試験I 前半

前回まで日本語教育能力検定試験の体験記を書いてみたが、 私自身過去問の解説にはだいぶお世話になったので、恩返しとして「誰よりも早い解説」を書いてみる。ただし:

  • すべて裏を取る時間はないので、自分の解答とアルクの解答速報を照らして、基本的に「私はこう考えた」を書いていく。したがって間違った内容を書いている可能性も高い。
  • 山勘で選んだものは正直にそう書くことにする。これは私個人の「こんなもん答えられなくてもいいんじゃね?」というメッセージだと思って欲しい。

まずは午前中の試験Iから。

問題1

(1) 5: [o]だけ円唇。他[a][i][ɯ][e]は非円唇。

(2) 3: 「完治(かんち)」だけ撥音がn-ch、つまり舌をchの位置に置いて鼻音を出している。他「干拓」「貫通」「関東」「官邸」はn-tやn-tsなので舌はtの位置にある。

(3) 1: 「月火水」の「火」は「か」から「かあ」と2拍に変化する。他は常に2拍。

(4) 2: 「9人」の「9」だけ「く」「きゅう」の両方で読める。他「9歳」「9個」「9本」「9回」は「きゅう」のみ。

(5) 3: これだけ「台吹く」。他は「耳当てる」「下敷く」「膝掛ける」「前書く」。

(6) 4: これだけ「心持ちよう」。他は「かばん持つ」「金持つ」「所帯持つ」「力持つ」。

(7) 1: 「はしかで休む」の「で」だけ原因。他「メールで送る」「日本語で話す」「遠近法で書く」「新幹線で行く」は手段。

(8) 2: この「持ってかえる」だけ複合動詞、他「座ってみる」「飾ってある」「忘れてしまう」「見えて来る」は動詞+補助動詞…だよね?

(9) 5: 「院長はあの人だ」だけ「院長」と「あの人」が交換可能、他「私の先生は男の人だ」「山田さんは医師だ」「あの人は冷淡だ」「議長は有能だ」は交換不可能。

(10) 4: これだけ対象を持つ動作なので「X見られた」、他は生産活動なので「Xによって生み出された/建てられた/作られた/描かれた」。

(11) 5: 「週末にレストランを予約した」だけ「週末」が予約の内容(つまり将来の時点)。他「週末に映画館へ行った/ドライブをした/一人で残業した/ケーキを買ってきた」は動作が行われた過去の時点。実はこれも「予約という動作が週末に行われた」という解釈も可能なので微妙と言えば微妙。

(12) 2: 「本の好きな子供」の「の」だけ「好き」の対象で、「が」や「を」に置き換え可能。他「あなたの決心」「バッグの値段」「彼の態度」「友人の娘」は所有/所属の「の」。

(13) 3: 「今日から生まれ変わるんだ」の「~んだ」だけ決心。他は気付き。

(14) 1: 「彼が来たところで状況は変わらない」の「~ところで」だけ「~としても」の意味。他の「ところ」はタイミング。

(15) 4: 「意欲が高められる」の「~られる」だけ受身。他は自発。

問題2

(1) 3: 例題は拗音を普通の「やゆよ」で発音する誤り。3だけ拍の長さの誤り。

(2) 4: 例題はアクセントの誤り。4だけ拍の長さの誤り。

(3) 3: 例題は受身を使ってしまう誤り(誤: 感動された⇒正: 感動した)。3だけ助詞の誤り(誤: たくさん誤りが⇒正: たくさんの誤りを)。

(4) 1: 例題は「ですから」や「なので」を使うべき因果関係を「そこで」と言ってしまう誤り。1だけ「そこに」を「そこで」と言ってしまう誤り。

(5) 4: 例題は放置を表す「おいて」の欠落(誤: 置いてください⇒正: 置いておいてください)。4だけ助詞の誤り(誤: まで⇒正: までに)。

問題3A

(1) 4: 吸着音は日本語にない…というか何それ?(笑)。1の摩擦音はs等、2の弾き音はr、3の接近音はyで存在する。

(2) 1: これ以外は何か変。2はささやき声のときは声帯は振動してないはず、3は息を吸うときは声門は開いているはず、4は息もれ音がするときは声門が狭く開いているはず。

(3) 2: 歯茎ふるえ音は、スペイン語やロシア語にある舌を震わせる音で日本語の共通語にはない。1の両唇破裂音はp、3の硬口蓋接近音はy、4の声門摩擦音は「はへほ」のhで存在する。

(4) 4: 「気流の流れを妨げるか妨げないか」が母音と子音の定義そのものだったと記憶。そのものずばり知らなくても2は調音点、3は調音法っぽいので絞り込みは可能。

(5) 3: 中国語とベトナム語。正解をずばり知らなくても、日本語や英語やスペイン語にそんなものはないだろうと気付けば2択や1択に簡単に絞れるのは出題者のやさしさ。

問題3B

(6) 2: 音と意味との間に必然的な関係はない、ときたらソシュールの恣意性。

(7) 1: トントンやコンコン vs. ドンドンやゴンゴンの対立を考えれば清音/濁音だろう。

(8) 3?: 1や4は擬音っぽいので脱落、2と3の間で迷う。2の「しぶしぶ」は「しぶい」「しぶる」が語源なので他と成り立ちが違うっぽい*1、というわけで3を選択。

(9) 4: これ以外は逆のことを言っていたり簡単に反例が思い付いたりする。

(10) 3?: 1と2は「ざらつく」「ざわめく」があるので脱落。私は3「なる」と4「ばる」の2択を絞り込めなかったが、アルクの速報は3。うーん、「しゃちほこばる」とかいう言葉は思いついたけど、これ擬態語関係ないよね?

問題3C

(11) 3: 「より」は助詞。他の選択肢を見ると、1の「のだ」は助動詞入ってる、2の「もう」は副詞、4の「こと」は形式名詞、とわかりやすいので消去法も容易。

(12) 4: これが取り立て助詞の定義そのものだったと記憶。

(13) 1: 常識的に1「並立」か2「共起」の2択だろうが、共起は使う局面が異なる用語なので1を選択。

(14) 4?: 私は1か4の2択を絞り込めなかったが、アルク速報は4。「頭」「薬」ではなく「頭を冷やした」「薬を飲んだ」を取り立てている、ということか。

(15) 2: これ以外はなんか変。1は「たとえ子供でも」があるし、3は「特別な文脈」が余計だし、4の「まで」はむしろ連続性があるときに使うもの。

問題3D

(16) 4: 認識的モダリティ「にちがいない」「はずだ」は、文頭に判断中の「うーむ、」を付けて違和感がない。同じく「うーむ、」を付けられるのは4の「まい」。

(17) 2?: 私自身はハズしたが、アルク速報は2。「にちがいない」は自分の確信なので主観的、「はずだ」は論理的帰結なので客観的、ということか。

(18) 1: この「めったに」は「ない」にかかっており、モダリティに対してではない。他は2「どうやら~らしい」、3「まさか~ね」、4「きっと~よ」とモダリティに対してかかっている。

(19) 2: まず次の(20)から解いた方がいい。「なくてはいけない」「てもいい」の前にタ形は来れないので2。1や4は「私は~なくてはいけない」と言えるのでおかしいし、3は後続の関係が逆。

(20) 4: 拘束(必要)と免除(許可)のペアは4の「なくてはいけない」「てもいい」。

問題4

問1 2: この中で一番社会的っぽいのはボランティア活動。他も社会と関係はあるが1は人だし、3と4はmaterialisticな感じ。

問2 1: ひねらず常識的にティーチャー・トークを選択。

問3 2: 指示質問とは何か、私は覚えてなかったが、アルク速報は2。ふーん。

問4 4: まともなのはこれ、「教案作成段階でよく計画しておけ」といういつものパターン。1は負担軽減に逆行する、2はあまりに限定的、3は無計画でいいはずがない。

問5 1: まともなのはこれだけ。他はわかりやすくおかしな記述が入っている。

問題5

問1 1: アルク速報はこれ。私はこれを技能ではなくタスクに分類して早々に選択肢から落としたのではずしてしまった。

問2 3: 文法のように抽象度の高い構造的なものは時世の影響を受けにくいと言える。話題、場面、語彙のような具体的でリアルなものは時世と密接な関係があり、つまり影響を受け易い。

問3 2: これ以外はおかしい。1と3はハードル高すぎ、4はハードル低すぎで能力を伸ばせない。

問4 4: 中級ではモダリティや心的態度はむしろ使いこなせるようになってもらわなくては。

問5 2: 真正性って何だっけ?と思いつつ、2だけが生教材の本来の目的と関連した利用法なのでそれを選択。他はその教材を用いる必然性がない。

 

後半に続く

 

*1:さらに調べてみたところ、この「オノマトペに見る漢語の影響 : 和語系オノマトペと漢語系オノマトペの関わり」という論文によれば、天沼寧による擬音語・擬態語辞典では「名詞・副詞・動詞の連用形・その他の品詞の一部などを二つ重ねて畳語にしたもの」は「形はにているが、擬音語・擬態語としないもの」とされており、その具体例として「しぶしぶ」が挙げられているとのこと。またこちらの「日本語オノマトペ語彙の語源について」という論文も、もともとオノマトペとして成立した真正オノマトペとそうでないものを区別している。

日本語教育能力検定試験(2019年)を受けた ~ 勉強から本番まで

前回の続きとして、私がどんな準備をしてどう本番に臨んだかを書いてみる。勉強の仕方は各々自分が楽しくできる方法を編み出すのが一番いいと思うので、これはあくまで私のやり方・考え方ということで参考程度に見て欲しい。

基本戦略

まず、本試験は満点を取る必要もなければ、TOEICのように自分の限界に挑戦する必要もない。合格すればいいのである。仮にここにあるデータ「マーク157点(220点中71.4%)が合格ライン」を信じるならば、「半分は確実に解く、4割は2択まで絞り込んで山勘(正答率50%)、残り1割は完全な山勘(正答率25%)」でも正答率期待値72.5%で合格ラインに達する計算である。そう考えれば「合格率約25%の難関と言われる試験にしてはけっこう甘いんじゃね?」と思えてくるというものだ。

前回述べたように、私はすべてを暗記するのは無駄だし、(悪問やまぎれのある問題に対しても)出題者の意図する正答を出すのに労力を費やすのもおもしろくないと思っている。そこで私は最終的に「確率的に8割取れればよしとする」という戦略を取ることにした。つまり、覚えたくないことは覚えなくても、ハイレベルな理解が合っていて解答がある程度絞り込めればよしとする。また、出題者の意図が読めなかったり見解の相違が生じても、それは一定確率で起こるものとし、わざわざ「正解」するために労力を割くことはしない。自分の得意な・好きな・納得できることだけをやり、トータルの確率的に8割マークできるコンディションに持ち込めばよいということだ。

教材と学習法

赤本

私の勉強方法は基本的に「次々問題を解く」派である。参考書を読むのは眠くなるのでどうもいけない。

とはいえ、まずは要求される知識の全体像は知る必要があるので、私は知人に借りたいわゆる「赤本」(日本語教育教科書 日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド)を睡魔と闘いながら流し読みした。ちなみに最新は第4版だが私が借りたのは第2版。

誤りが多いなど評価は微妙な本だが、話題のカバー範囲は広く、頭の中に知識体系のインデクスを構築するためにはまあ妥当だと思う。どうせ詳細は自分で調べるので問題ない。

この赤本は私にとっては最初の洗礼のようなもので、「知識分野が思ったより広い、日本語の文法知識はごく一部に過ぎない」というポジティブな気付きと、「しょーもないこといろいろ覚えにゃならん、国学者の名前とか超どうでもいい。こんなこと始めなきゃよかったかな(´・ω・`)」というげんなり感とがあった。このげんなり感は次に述べる過去問を使った勉強により、労力かけるところ・かけないところの濃淡が見えてくると解決されてくる。

過去問とその解説サイト

私のメインの勉強手段はやはりこれである。最新から過去5年分を購入。過去問は本当は最後まで取っておきたいものだが、後述のようにサードパーティーの問題集は質が低すぎたので、結局私はほぼこれを中心に勉強することになった。解いて、解答をレビューして、そこに出てきた内容と関連する知識をネットで調べて勉強する。興味ある内容は様々なソースや論文など辿っていろいろ調べる(Google先生万歳)。興味ないものは軽くさらって放置する。これを「常に8割取れる(という感触が得られる)」まで続ける。

過去問のAmazonのレビューには「解説がない」と低評価を付けてる連中がいるが、まったくもってググレカスである。解説を作って公開してくれているサイトが幾つもあり、簡単に見つけられるのだ。私は下記のサイトに大変お世話になった。ただ絶対に正しい解説者などいないので、複数のサイトを参照・比較し、疑問があれば自分で調べて自分の意見を持つのが大事である。というか、本来そのプロセスが勉強としては一番楽しくて生産性も高いはずである。

日本語教育能力検定試験 解説 | 毎日のんびり日本語教師

日本語教育能力検定試験問題の解説

サードパーティーの問題集

赤本に付属の問題集や、最近新版が出た「合格するための問題集」というのをやったが、はっきり言ってクオリティは低い。問う内容が細かすぎる、まぎれが多すぎる、問題文の日本語がへたくそ、どうでもいい自説をひけらかして悦に入る出題者…と気分が悪い。本番の試験より難易度を上げようとしているのは理解できるが、本物の試験はもっと丁寧・素直に作られており、こんな問題集に「正解しようと努力する」のは労力の無駄である。

というわけで、買った問題集は一応解くが、正解でなくても気にせず、興味のある分野を踏んだらそこは自分で調べるきっかけとするだけにした。クオリティは低くとも、一応専門家がヤマを予想してくれているわけだから、そこはありがたく情報として活用させていただくというわけだ。

聴解問題

問題のフォーマットが決まっているので、過去問や問題集に付いてくる音声問題で練習して慣れる。

これは運要素が結構ある。あっという間に流れていく音声に対して、自分の限りある注意力およびワーキングメモリが題意に関するポイントをちゃんと拾い、且つ正解を選択肢から発見できるかどうかはときに運任せになる。私は特に問題4と5がそうで、問題2も時折まぎれることがあり、これらはどうしようもないので正答率を低めに見積もっておき、問題1や3など確実なところでカバーする作戦にする。問題3の音声学は勉強すれば確実に伸ばせるのでお得。

記述式問題

この本マジおすすめ。黙って買っとくとよい。

改訂版 日本語教育能力検定試験に合格するための記述式問題40

改訂版 日本語教育能力検定試験に合格するための記述式問題40

 

この本、「近年の記述式は、内容の是非ではなく主張を論理的に書けているかが重視される」というスタンスのもと、日本人が苦手とする論理的な作文の良質な指南書になっている。「正しかろうが何だろうがとにかく立場を決め、それをサポートする論拠を無駄なく述べよ」「エッセイやポエムを書くな」といった基礎的且つ的を射た指導がまずあり、各練習問題にはそれぞれ背景知識や立場のオプションが提示されていて議論展開の勉強になる。私は最初何かの本で記述式の模範解答を目にして「げげっ、何このポエム、気持ち悪くて吐きそう」と思いどうしたものかと困っていたのだが、その懸念はこの本がすべて払拭してくれた。

記述式は「確率的に8割取る」という目標に対して自分の勉強が足りているかを測る術がない。私は普段英語で論理的な文章を書くことには慣れているので、この本の問題を何本か練習してみて、何かしら論点定めて400字の議論を(引き延ばしたり投げやりにせずに)展開できれば大ハズシはなかろう、と思うことにした。模範解答に比べて自分の論点はピントがずれていたり考察が浅かったりするのだが、こういうのは人間のコンテンツそのものがにじみ出るもので、付け焼刃でどうこうできるものではないのだ。 

直前準備と本番

直前勉強できるようにと試験の6日前に日本に飛んだのだが、まぁ勉強どころではなかった。フライトの疲れは残っているし、日本に居れば他にやることはあるし、さらに悪いことにひどい風邪をひいてしまった。最後まで大事に取っておいた過去問一冊だけやって、あとは勉強せず体力温存に努める方針に切り替えた。「確率的に8割取れるコンディション」には集中力が続くかどうかも大きな要素なのだ。根詰めての山勘と投げやりな山勘とではやはり精度は大きく変わるのである。

本番も風邪が治らず強力な風邪薬で症状を抑えて臨んだのだが、そんなことを吹き飛ばす「腕時計を持って行かない」という失敗をしてしまった。というか試験会場に時計設置しとけよ!今どきdumbな腕時計なんて持ってるわけねーだろ!悪いのは俺じゃねえ!と言いたいところだが、結果的に時間配分がどんぶり勘定になってしまった。自分のペースはだいたい分かっていたので深刻な問題にはならなかったが、精神衛生上あまりよろしくはない。

結果的にはアルクの解答速報に照らしての自己採点がマーク187点(85%)、目標を上回るスコアである。「やりたいことだけやって確率的に8割」という勉強アプローチも、最後の体力温存アプローチも、ともに功を奏したと考えている。

続く

 

日本語教育能力検定試験(2019年)を受けた ~ イントロ

タイトル通り、2019年の日本語教育能力検定試験を受けた。これはいわゆる日本語の先生になりたい人が取る資格である。今後受けてみようという人の役に少しは立つことを願って、体験記的なものを書き残しておこうと思う。

なぜ受けようと思ったのか

私は米国在住のソフトウェアエンジニアであり、ボランティアで少々日本語を教えている。直近本職の日本語教師になるつもりはなく、資格も特に必要ない。ただ、自分の日本語指導力がアマチュアとしてはまあできる方らしいのと、また将来何らかのかたちで異文化交流や教育に関する仕事をしたくなるんじゃないかと思う所もあり、客観的な能力の証明を得るためと、実際にプロが通るハードルの一端を体験するために、資格にチャレンジしてみるかと思った次第である。立場および動機としては異端かもしれない。

資格を取ってご利益があるのか

日本語教育能力検定試験は、国家資格や公的試験ではない。この資格がないと日本語を教えられないということはない。ただ日本国内の日本語教育機関でプロとして採用されようと思ったら、この資格が採用条件となっていることが多い⇒つまり必要、という話である。ボランティアにとっては特に必要ないし、海外で(例えばここ米国で)活動する場合には「何それ?ふーん、そういうのあるの」程度の扱いで武器にならない。また、そもそも教職免許や教育の実務経験の方が問われることも多く、そういった前提部分と切り離して本資格を単独で取ることに(キャリアサポートの武器としては)あまり意味はないように思う。

「特に必要性はなくても、資格を取るプロセスそのものが実力固めにプラスなのでは?」という期待については、もちろんYesなのであるが、個人的には無駄な労力が多くて効率悪い方法だと思う。というのは:

  • まず間違いなくプラスなのは、日本語教育の専門家として要求される知識体系を知ることができること。例えば日本の移民政策など、「顧客の背景や彼らの抱える課題を理解せずして解決策が提示できるのか」という観点から知っておくべき分野であるのだが、私自身参考書を開くまで全く無知であった。ここまでは役に立つ勉強としてお勧めできる。
  • しかし、試験に合格するには、これらの知識を暗記せねばならず、また出題者の意図通りの正解を出さねばならない。これが効率悪い。今どき正しい知識などスマフォでGoogleすれば簡単に得られるのだから、知識体系とその位置づけさえ理解しておけば、それらを精密に暗記する必要性は低い(=知識の引き出しは頭の中に体系立てて用意しておくべきだが、かならずしもその中身をぎっちり詰めておく必要はない)。また、意図や問題文がはっきりしない悪問や、模範解答に納得できないことも多々あり、そこで「正解」を選べるように訓練させられるというのも腹が立つし無駄な労力だと思う。プロと違ってアマチュアはそんな細かいことを気にしなくてもよく、自分なりの見方や意見を持って、それを好きなように育てていけばいいのだ。

というわけで、私のように酔狂でない限り、プロになるつもりのない人が実力をつけるために受けてみようというのはあまりお勧めしない。それなら日本語教科書Genkiの本編と教師向けガイドを買って読み込んだり、ボランティア向けの啓発書(外国人に日本語を教えてみた体験記やノウハウ本はいろいろある)を読むなど、効率のよい方法は他にいろいろあると思う。

とは言うものの、役に立つ・立たないという見方で留めてしまうのは本資格に対する考察としては浅薄に過ぎると思うので、少しだけハイレベルな視点も提示してみたい。日本国内には日本語ができない and/or 日本文化になじめない人たちがたくさんいる。この問題解決の一翼を担うのが日本語教師なのだが、その数の確保、質の確保、適切な待遇の確保など、課題は山積みである。本資格はこれらの課題を解決するための試みのひとつであり、国家資格化が検討されるなど目下の動きもある。せっかく本資格に興味を持ったのであれば、下記のような記事も読んで、自分は日本語教育においてどのような立ち位置でどんな貢献をしたいのか?それを踏まえて自分にとって有効なアクションは何か?を考えてみるとよいと思う。
www.idobata.online

海外からの申し込みについて

この試験、海外居住者に超アンフレンドリーである。受験そのものが日本限定なのはまだ許せるが、願書を出す際に「専用の払い込み用紙で日本の銀行や郵便局で受験料を払い、その領収書を願書に同封させる」という日本の中しか見ていないドメドメ且つ前時代的なシステムである。米国では各種インフラサービスのオンライン化が進んでおり、これはサービスを受ける人のdiversityが半端なく広いという現実に対処するためなのだが(異なる言葉を喋れる人を窓口に雇うよりも異なる言葉で画面を表示できるオンラインシステムを作る方が現実的)、本来日本に住む外国人をサポートするという社会的大義のための本試験が受験者のdiversityすら考慮できていないという体たらくである。やれやれ、日本が真に在留外国人のdiversityを受け入れられるのはいつの日か、と思わざるを得ない。

私は結局国内の知人に願書購入・受験料払い込み・郵送物の受け取りなどすべて代理で行ってもらい、なんとか受験にこぎつけた。証明写真をオンラインで送付→コンビニでプリントできるというシステムが何気に神だった。

続く

買い物メモ: 精密ドライバーセットとコンデンサマイク

ちょっと前に買ってあったStanleyの精密ドライバーセット、いざ必要になって使ってみたらチップの精度が悪くてネジ穴にはまらないことが判明。これは窓から投げ捨てる確定として、代わりに何を買ったらいいかちょっと調べてみたのでメモ。

もうひとつ、最近知人に譲ってもらったクラシックギターがあるのだが、録音用のコンデンサマイクが欲しい。既にAudio-Technica PRO70というのを買ってみたのだが、これはボディに付ける小型のもので、もう少し遠くから狙う本格的なやつをトライしたいのである。

  • Audio-Technica PRO70: 最初から大仰なものを買ってセッティングがめんどうだったり周辺ノイズを拾いすぎたりで結局使わなくなるともったいないので、まずは手軽なものからと、島村楽器のレビューでよさそうだったので購入。仕事は期待通りで悪くはない。空気感とかはない。
  • Rode NT1-A: 定番のひとつ。柔らかめのサウンド。お値段は$200~$300ほど。
  • Blue Hummingbird: かなりクリア。$300ほど。 https://www.mi7.co.jp/products/blue/mictasting/

買い物メモ: 精密ドライバーセットとコンデンサマイク

ちょっと前に買ってあったStanleyの精密ドライバーセット、いざ必要になって使ってみたらチップの精度が悪くてネジ穴にはまらないことが判明。これは窓から投げ捨てる確定として、代わりに何を買ったらいいかちょっと調べてみたのでメモ。

もうひとつ、最近知人に譲ってもらったクラシックギターがあるのだが、録音用のコンデンサマイクが欲しい。既にAudio-Technica PRO70というのを買ってみたのだが、これはボディに付ける小型のもので、もう少し遠くから狙う本格的なやつをトライしたいのである。

  • Audio-Technica PRO70: 最初から大仰なものを買ってセッティングがめんどうだったり周辺ノイズを拾いすぎたりで結局使わなくなるともったいないので、まずは手軽なものからと、島村楽器のレビューでよさそうだったので購入。仕事は期待通りで悪くはない。空気感とかはない。
  • Rode NT1-A: 定番のひとつ。柔らかめのサウンド。お値段は$200~$300ほど。
  • Blue Hummingbird: かなりクリア。$300ほど。

スマートアウトレットAPI (VeSync) を叩く

今時こういうスマートアウトレットが$10/eaくらいで買えるのである。WiFiクラウドに接続し、アプリケーションやAPIからON/OFFしたり統計情報を取得したりできる。もともとクリスマスライトを夜だけONにしたくて、機械式タイマーと値段あまり変わらないのでこちらに手を出してみた次第。

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